借地権の手引き

借地権を売ったときの税金 取得費が分からないときの5%と3,000万円の特別控除

内容の確認日: 2026年11月4日

借地権を売ったときの利益には、所得税と住民税がかかります。利益は「売った金額から、取得費と譲渡費用を引いた額」で、土地や建物を売るときと同じ分離課税の計算です。借地権は、売ったあとの確定申告で扱います。

手がかりが少ないのは取得費です。古くから借りている土地では、借地権を取得したときの金額が分からないことがあります。そのときは、売った金額の5パーセントを取得費にできます。この記事は一般的な情報で、個別の判断は税務署や税理士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。

利益の出し方は「売値−取得費−譲渡費用」

国税庁のタックスアンサーNo.3202は、土地や建物を売ったときの譲渡所得を次のように説明しています。国税庁の資料で借地権が名前で出てくるのは、譲渡費用(No.3255)と、あとで触れる自宅の特例(No.3302、No.3305)です。借地権の売却にこの計算がそのまま当てはまると明記した一つの頁は確かめられなかったため、土地や建物の計算を借地権にも当てはめた説明として読んでください。

税務署の建物
写真: Miyuki Meinaka / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
  • 譲渡所得の金額 = 売った金額(収入金額) − 取得費 − 譲渡費用
  • 取得費: 買い入れたときの代金や手数料に、その後の改良費などを加えた額。建物は、所有期間中の減価償却費相当額を引く。
  • 譲渡費用: 売るために直接かかった費用。仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、建物を取り壊して売るときの取壊し費用など。

売主が地主に払う承諾料にも注目してください。国税庁のNo.3255は、譲渡費用の例に「借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など」を挙げています。承諾料の目安は借地権の譲渡承諾料・名義書換料の記事に、承諾が得られないときは借地権を売るときの承諾の記事にまとめました。

修繕費や固定資産税のように、資産の維持や管理にかかった費用は譲渡費用になりません。

取得費が分からないときは売値の5パーセント

何十年も前から借りている借地では、借地権の取得費が分からないことがよくあります。国税庁のNo.3258は、先祖伝来のものや買い入れた時期が古いなどで取得費が分からない場合に、売った金額の5パーセント相当額を取得費にできるとしています。実際の取得費が5パーセントを下回るときも、同じ扱いです。

通り沿いに建つ古い木造の長屋
写真: Suikotei / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

国税庁の例は、土地建物を3,000万円で売って取得費が不明なとき、5パーセントの150万円を取得費にできる、というものです。

相続した借地権では、取得費も取得の時期も、亡くなった人のものを引き継ぎます(No.3270)。取得費が分からないときの5パーセントも使えますが、その場合は相続人が払った登記費用などを取得費に含められません。相続したときの手続は借地権の相続の記事で扱っています。

長期と短期で税率が変わる

売った年の1月1日で、借地権を持っていた期間が5年を超えるかどうかで区分が分かれます。相続や贈与で取得したものは、原則として亡くなった人や贈与した人が取得した日から数えます(No.3202、No.3270)。

高松国税局の庁舎
写真: KishujiRapid / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

表は左右に動かして読めます。

区分持っていた期間所得税住民税
長期譲渡所得5年を超える15%5%
短期譲渡所得5年以下30%9%

平成25年から令和29年までの各年分は、このほかに復興特別所得税がかかります。基準所得税額に2.1パーセントを掛けた額で、所得税と合わせて申告し納めます(No.3208、No.3211)。

数字を入れた計算例です(特例を使わない場合の税額です)。取得費は不明で、売値の5パーセントとします。この例は、国税庁の計算式に仮の金額を当てはめたもので、実際の税額ではありません。

  • 売値 3,000万円(借地権と建物の合計。長期)
  • 取得費 150万円(売値の5%)
  • 譲渡費用 190万円(名義書換料100万円と仲介手数料90万円と仮定)
  • 譲渡所得 = 3,000万 − 150万 − 190万 = 2,660万円
  • 所得税 2,660万 × 15% = 399万円。復興特別所得税 399万 × 2.1% = 83,790円
  • 住民税 2,660万 × 5% = 133万円

自宅の借地権なら3,000万円の特別控除が使える場合がある

住んでいる家と一緒に借地権を売るときは、居住用財産の特例が使えるかもしれません。国税庁のNo.3302は、対象になる資産に「現に住んでいる家屋とともに売ったその敷地や借地権」を挙げています。条件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を引けます。

住宅地で進む建て替え工事
写真: Syced / CC0(Wikimedia Commons)

No.3302に書かれた主な条件は次のとおりです。

  • 以前に住んでいた家屋なら、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る。
  • 売った年の前年と前々年に、この特例などを受けていない。
  • 親子や夫婦など、特別の関係がある人に売ったものでない。
  • 確定申告で特例を申告する。譲渡所得の内訳書などの書類を添える。

上の例なら、譲渡所得2,660万円が3,000万円以下なので、特例が使えれば課税される譲渡所得は0円になります。使える場合でも、申告は必要です。

売った年の1月1日で家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えると、軽減税率の特例も使えます。課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下の部分は所得税10%です(No.3305)。3,000万円の控除と重ねて受けられるとも書かれています。

売る前に確かめること

税額は売ったあとに決まりますが、確かめられることは売る前にもあります。

地面に埋められた境界標
写真: Osumi Akari / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
  1. 借地権を取得した時期と、そのとき払った金額が分かる書類(契約書、領収書)を探す。
  2. 相続した場合は、亡くなった人が取得した時期を調べる。
  3. 名義書換料などを払うときは、領収書をもらう。譲渡費用として確かめる材料になります。
  4. 自宅の借地権か、貸している建物か。特例が使えるかどうかが分かれます。
  5. 底地を地主から買い取る、地主と等価交換する場合の税金は底地の記事で別に扱っています。

査定を頼む前の書類は査定の書類の記事が参考になります。買い手探しや地主との話し合いに迷うときは、相談先を考えてもよい時期です。

出典

いずれも令和8年4月1日現在法令等の表示で、2026年11月4日に確認しました。

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