定期借地権の期間が満了したら 更新なしで更地返還 借りている側が確かめること
定期借地権は、期間が満了すると借地契約が終わります。更新はありません。借りている側は、原則として建物を取り壊し、更地にして土地を返します。国土交通省の解説も、そう説明しています。
例外は、建物譲渡特約付借地権です。この権利では、地主が建物を買い取って借地権が消滅し、建物は残ります。借地借家法の22条から24条には、期間満了を知らせる通知の定めは見当たりませんでした。契約書に通知の条項があるかを、先に読んでおきます。この記事は一般的な情報で、個別の判断は弁護士や司法書士などの専門家にお願いします。内容は2026年11月4日に確認しました。
満了のときの扱いは権利の種類で変わる

定期借地権には三つの種類があります。満了の場面が違うため、自分の契約書がどれに当たるかを最初に確かめます。
表は左右に動かして読めます。
| 種類 | 条文 | 期間 | 満了のとき |
|---|---|---|---|
| 一般定期借地権 | 22条 | 50年以上 | 更新、建物を建て直したことによる期間の延長、建物の買取請求がない。借地人が建物を取り壊して返すのが原則 |
| 事業用定期借地権 | 23条 | 10年以上50年未満 | 専ら事業用の建物が対象で、居住用は除く。契約は公正証書で結ぶ。30年以上のものは、更新などをしない特約を定められる |
| 建物譲渡特約付借地権 | 24条 | 設定後30年以上たった日に譲渡する特約 | 地主が建物を相当の対価で買い取る。借地権は消滅し、建物は残る |
23条2項は、存続期間が10年以上30年未満の事業用借地権について、更新や建物の買取請求などの規定(3条から8条、13条、18条)を適用しないと定めています。期間が30年未満のものは、特約を結ぶまでもなく、これらの規定が働きません。
契約書の題名が「借地契約書」だけで、どの種類か分からないこともあります。そのときは、期間、公正証書かどうか、更新や買取請求についての条項を読みます。
更新がなく、使い続けても更新にならない

普通の借地権では、期間が満了しても、借地人が更新を請求し、建物があれば、同じ条件で更新したものとみなされます(借地借家法5条)。地主が遅滞なく異議を述べたときは別です。
定期借地権のうち22条のものは、そのような更新がありません。条文は、「契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む)」がないと定められるとしています。期間が過ぎたあとも土地を使い続けていれば更新になる、という扱いにはなりません。この特約は、公正証書などの書面で結ぶ必要があります。
普通借地権では、借地人に不利な特約は無効です(9条)。22条は、その規定にかかわらず特約を定められるとしています。更新をしない特約は、契約のときに書面で定められ、その内容で効力をもちます。
その土地をさらに使いたいときは、更新を求めることはできません。地主と新しい契約を相談することになります。結ぶかどうかは地主が決めます。
建物の取壊しと更地での返還

国土交通省の解説は、一般定期借地権と事業用定期借地権では、原則として借地人が建物を取り壊して土地を返還するとしています。買取請求をしない特約が付くため、建物を地主に買い取ってもらうことは、契約で別に決めていなければ求められません。
実際に何をどこまでして返すかは、契約書の返還の条項で決まります。次の点を読みます。
- 返す土地の状態(更地か、基礎の撤去まで含むか、地中の物の扱い)
- 返す日と、建物を壊す期限
- 塀、擁壁、庭木、物置など、建物以外のものの扱い
- 保証金や敷金があるときの返還の時期と条件
- 期間の満了前に地主へ連絡する時期の決まり
建物を人に貸している場合は、その契約を満了までに終える必要があります。解体の工事は、見積もりから完了までに日数がかかります。解体の費用は、複数の業者の見積もりで確かめます。
建物を壊したときは、建物の滅失の登記をします。手続きは、法務局や土地家屋調査士に相談します。
建物譲渡特約付借地権の場合

24条の建物譲渡特約付借地権は、借地権を設定してから30年以上たった日に、借地上の建物を地主に相当の対価で譲渡する、と定めた借地権です。建物が地主のものになることで、借地権は消滅します。建物を壊す必要はありません。
消滅後も、借地権者か建物の賃借人が建物を使い続けているときは、請求ができます。請求すると、請求の時に、期間の定めのない建物の賃貸借がされたものとみなされます(24条2項)。借地権の残存期間があって借地権者が請求したときは、その残存期間が存続期間になります。この場合の建物の借賃は、当事者の請求により裁判所が定めます。
ただし、当事者が38条1項の定期建物賃貸借の契約をしたときは、その契約の定めに従います(24条3項)。国土交通省の解説も、定期借家契約を使えば期限付きで貸せるとしています。
この解説には、設定の方法についての記述もあります。書面は必須ではなく、口頭でも設定できるとされています。紛争を防ぐため、契約書を作ることが望ましいとあります。将来の建物の買取りに備えて、所有権移転の仮登記をしておく必要があるとも書かれています。自分の権利がこの型なのか、仮登記がどうなっているかは、登記事項証明書で確かめられます。
満了の前に確かめることと相談先

満了が近づいたら、次の順で確かめます。
- 契約書で権利の種類と満了の日を確かめる
- 返還の条項と、通知や連絡の決まりを読む
- 建物の解体の見積もりを取り、費用と日数をつかむ
- 建物を貸しているなら、その契約の終わりを決める
- 地主と、返還の段取りと日程を文書で確認する
期間満了を知らせる通知は、借地借家法に定めが見当たりません。なお、借地借家法38条6項には、期間が1年以上の定期建物賃貸借で、賃貸人が満了の1年前から6か月前までの間に終了の通知をする決まりがあります。これは建物の賃貸借の話で、借地とは別です。借地契約を結んだときの書面も、あわせて読みます。
契約書の読み方が分からないとき、地主との話が進まないときは、弁護士、司法書士、公証役場などに相談します。普通借地の返還や買取請求は、借地を地主に返したい・手放したいときの記事で説明しています。
出典
- 借地借家法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090
- 国土交通省 定期借地権の解説(建設産業・不動産業) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000106.html
いずれも2026年11月4日に確認しました。条文の番号と内容は、e-Gov法令検索に載っていた現行の条文です。国土交通省のページには「令和5年7月5日注記」があり、借地借家法の解釈は法務省に問い合わせるよう案内しています。